今回は「035 Baka jātaka バカ」 一羽のアオサギが池の魚をだまして、みんな食べてしまったが、最後にカニも食べようとして、反対にだまされしまったという物語でした。
一羽のアオサギが、巧みな言葉で魚たちをだまし、殺して食べました。ついに、池にたくさんいた魚たちは一匹もいなくなりました。アオサギは一匹のカニがいるのを見つけ、魚たち同様に巧みな言葉でカニをだまそうとしました。「アオサギさん、あんたが僕を落とさず連れて行けるか心配だから、僕のハサミで首につかまっていいなら一緒にいってもいいよ」と言い、アオサギも同意して出発しました。アオサギは本性を現して魚たちと同様に池のほとりの木に連れて行こうとしました。カニは「この魚たちは、自分の愚かさのために、あんたに食べられてしまった。でも僕は違うぞ。食べられるどころか、お前の首をちょん切ってやる。僕をだましたつもりだろうが、だまされたのはおまえの方だ」とアオサギの首を締め付けて、蓮池に降ろさせてから、アオサギの首をちょん切って殺し、池の中に入っていきました。蓮池のほとりに住む樹神は、この不思議な出来事を見て感嘆し、森をざわめかせながら妙なる声で詩句を唱えました。
欺くことにたけた物が
その詐術で、永く栄えることはない
アオサギがカニにされたように
詐術の報いを受ける
【この物語の教訓】
① 人を欺いてはならない、だましてはならない、という教えです。
➁ 詐欺師は必ず他のずる賢い人にだまされるのです。人を欺いていくと、自分に自信がついて人は簡単にだませると思って、わきが甘くなり単純なところで、自分もだまされることになります。
次回は「041 Losaka jātakaローサカ」財産家から施しを受けていた一人の修行僧が、新来の長老をねたんで追い出した報いで、長いあいだつらい目にあう物語です。お楽しみに!
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